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天井断熱で酷暑対策!

天井断熱で酷暑対策!

6月だというのに真夏のような日が続きます。気候変動の影響で、昨年は観測史上もっとも暑い年となりましたが、今年はすでに昨年を上回る暑さになっています。

今後は、ガマンや簡易的な対策だけでは足りなくなるので、もう一歩踏み込んだ対策が必要です。

これまで、暑さ対策として内窓設置や家の外での遮光などを紹介してきました。その次にやるべきなのが、今回紹介する天井の断熱です。

寒さ対策の断熱改修では、床下に断熱材を敷くなど(写真はこちら)下からくる冷気の対策が重要でした。夏の場合、直射日光が家に当たり続ける家の上側(天井)の対策がより効果的です。(天井断熱は冬の寒さ対策にも効果があります)

家の中でも、階段を上がって2階へ、ハシゴを上がってロフトへ、上に上がれば上がるほどムワっと暑い!という経験があるのではないでしょうか。その理由は、温かい空気が上にあがることと、直射日光が当たり続ける屋根から天井へと伝わる熱のせいです。

では、具体的な天井の断熱改修の実践例を見てみましょう。

友人が行った天井断熱の例

長野県に暮らすFさんのお宅は賃貸の戸建てで、築60年、23坪の平屋です。LDK+サンルームがあります。窓はアルミサッシですが、脱衣所とお風呂には内窓がついています。

家にはエアコンが設置されていませんが、この地域はこれまではそれほど暑くならなかったため、このような家も珍しくないようです。しかし昨年の猛暑があまりにもひどく、昼間自宅にいると体力的にも精神的にも参りそうだった経験から、この春に天井断熱をする決断をしました。

Fさんは大家さんと交渉して、自腹で天井に断熱材(グラスウール)を入れる許可をもらいました。

かかった工事費用は30万円弱で、基本的には作業は工務店にお願いしました。工事が行われたのは4月中旬で、朝の9時から午後3時くらいまでかかりました。屋根裏にはまったく断熱材が敷かれておらず、そこに20センチ分のグラスウールを敷き詰めました。

家の構造にもよりますが、Fさんの家の場合、屋根裏はあまり高くなく、狭くて電線や柱が多かったので工務店の人でも作業は大変だったと言います。また、断熱材は隙間なく敷き詰めなければならないので、技術が必要です。

ぼくも以前ワークショップで断熱材を詰めたことがあります(詳しくはこちら)が、いきなり難易度の高い部分を担当したこともあって、一生懸命詰めても隙間だらけでうまくいきませんでした(笑)。

ある友人からは「断熱ジャーナリストなのに、断熱材詰めるのが下手ですね」とからかわれています。床や壁と比べると、天井断熱は、慣れていない人が自分でしっかり施工するのは難しいかもしれませんね。

改修後の感想は?

では改修後、どのような変化があったでしょうか?Fさんに聞いてみました。

「毎日、その日の最高気温を確認するようになりました(笑)。暑くなり始めた5月、外気温が30度を超えるような日でも、午前中の部屋の中は肌寒いくらいでした。5月末ごろ、30度を少し超えた真夏日に終日家にいたことがあります。お昼ごろからもやっとしてきて扇風機を使いましたが、夕方には扇風機の風が寒いくらいの体感でした」

「先日は35度の予報でしたが、10時に家を出るまでまったく暑さを感じず、快適でした。玄関を出るなり、信じられないくらい暑くて、『どこでもドア』で違う国に移動したような気がするくらい違いました」

Fさんの実感では、改修前は、初夏になると日中の熱が夜間に冷め切らず、朝から暑さを感じることがありました。改修後にはそれがなくなり、朝から快適に過ごせるようになったとのことです。

実は、Fさんはお仕事の関係で、普段から断熱ワークショップを広める活動をしています。しかし、今回、自宅を断熱したことで、日々の生活でも断熱の威力を体感できるようになり、より力強く断熱をオススメできるようになったそうです。

体感温度はどうやって決まる?

ここで、体感温度についての豆知識を紹介します。熱の出入りは窓などの開口部が大部分を占めています。しかし体感温度は、室温だけでなく、室内の壁や天井の表面温度が大きく関わっています。

体感温度の計算式は次のようになっています。

(室温+床、壁、天井の表面温度)÷2=体感温度

Fさん宅では、猛烈に高くなっていた天井の表面温度が下がったことによって、室温の変化以上に効果(涼しさ)を感じるようになったと考えられます。

まとめ

Fさんのご自宅の例でもわかるとおり、天井断熱は、夏の暑さ対策としては抜群の効果を発揮します。

特に古い家では、屋根の真下にほぼ何もなく、太陽の熱がそのまま室内に伝わってしまっています。ぜひ自分の家の天井がどうなっているのか調べて、必要・可能な場合は検討してみてください。料金はそれなりにかかりますが、効果は絶大です。また、持ち家であれば、補助金を活用することも可能です。ぜひ一度見積もりをとってみてください。

余談ですが、わが家の天井に入っている断熱材の厚さは30センチです。そのため、外気温が40度でも、屋根の下が暑くはならず、ロフトの温度も1階と変わりません。以前は真夏にお客さんが宿泊するときには、ロフトで寝てもらっていましたが、みなさん快適に過ごせたと言っています。(詳しくはこちら)。断熱の力は本当にすごいのです。

なお、天井断熱の話をすると必ずされるのが「屋根に遮熱塗料を塗るのはどうか」という質問です。結論から言えば、お勧めしません。夏の暑さにはそれなりの効果を発揮することは確かですが、いつか効果がなくなるので、塗り直す必要があります。また、冬の寒さには効果がありません。断熱材は一度入れれば効果はずっと続きます。また、夏だけでなく冬の寒さにも効果を発揮します。やはり最もコスパに優れているのが断熱です。

断熱というと寒さ対策という印象がありますが、夏こそ断熱が必要です。今後も長期的に酷暑が予想される今、すべての方向(天井、床、窓、壁)から、そして色々な手段でしっかりと対策するのが大事です!

ではまた!

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