高橋さんちのKOEDO低燃費生活

あきらめないで!ゾーン断熱という選択

あきらめないで!ゾーン断熱という選択

エコハウスで暮らしはじめて、友人から家にまつわる相談を受けることが増えました。そして「今、親が住んでいる古い家を建て替えるか、断熱改修(リノベーション、以下「リノベ))するか迷っている」という話をよく聞くようになりました。

今日は、あまり知られていない改修の選択肢「ゾーン断熱」をご紹介します!

まず、建て替えに比べてリノベは、費用を安く抑えることができます。長く使った家には思い入れがあるはずです。また環境面で考えても、出るゴミの量がかなり減るので、リノベはとてもよい選択肢だと思います。その家に、あと10年以上住む予定があるのであれば、ある程度の予算をかけて断熱した方が、心身にかかる負担やストレスを大幅に減らすことができるようになります。

ただ、建て替えとは異なる課題もあります。新築すれば、性能面を含めてほぼ事前のイメージ通りの建物ができます。しかし、既存の家は「これくらいの予算で、こんなふうにリノベしよう」と考えたとしても、工事が始まってから問題が見つかることもあります。

古くなった家は、柱や梁、壁の中や床下など、見えにくい部分が傷んでいることがあります。また、耐震性で問題があるケースもあります。そのため、大規模なリノベをするなら、まずは住宅診断士(ホームインスペクター)による診断を受けるなどして、柱の痛み具合やシロアリの被害や耐震性の問題がないかなどを調べることが大事です。

その上で、どこまで手を入れるべきか決めていきます。昔の家は大きい家が多く、家全体の断熱改修をやると、とても費用がかかります。そして、高齢の居住者が1人や2人で住んでいるケースでは、実際にはその大きなスペースの一部の空間しか使っていないことがほとんどです。場合によっては、2階の全部と1階の半分を使っていないようなこともあります。

そんなときは、必要な場所だけ断熱する「ゾーン断熱」が、普段過ごす場所を快適にする最善の選択肢になります。「ゾーン断熱」とは、家の中にもうひとつ家を作るような考え方です。ひと部屋ではなく、家の一部のゾーンを囲う形で、断熱改修していくものです。

ゾーン断熱された内側は、温度差があまりなくなるので、ヒートショックなどのリスクが格段に減ります。また、暑さ寒さが和らぐだけでなく、防音効果や結露の減少、ダニやカビの減少といったメリットがあります。つまり、ゾーンの中がエコハウスと同じような状態になるのです。

ゾーン断熱の内側に入れるのは、まずはヒートショックや命に関わることが起こりやすいお風呂場、脱衣所、トイレがあるエリアを優先しましょう。さらに、最も長く時間を過ごすキッチンやリビング、寝室を囲う形で断熱すれば、季節を問わず快適に過ごすことが可能になります。

実際の工事内容としては、外とつながる壁やドアといった部分は、通常の断熱改修と同じように、壁を剥がして断熱材を入れたり内窓をつけ、床下に断熱材を入れるといった対策を行います。天井については、断熱改修するのが1階であれば、1階の天井か2階の床を断熱。2階であれば、屋根裏に断熱材を敷き込みます。

重要なのは、断熱するゾーンとしないゾーンとの境です。ここは、樹脂サッシなど断熱性の高い仕切りを設けて、ゾーンの中側と外側をしっかり分ける工事を行います。

もちろん、全部が都合よく隣り合わせになっていないかもしれません。でも、改修時に間取りを変えることができるので、寝室の位置を変えるなど、必要なものをできるだけ近くに配置し直し、コンパクトなエリアでゾーン断熱をするのがおすすめです。

ゾーンの決め方は、実際の暮らしではどれくらいのスペースが必要かを考えることが大事です。その上で、予算と相談しながら、断熱に加えて、どの程度リノベーションするかについても考えます。

古い家の場合、断熱だけでなく、床材を変えたり、キッチンを入れ替えたりしていくと、ゾーンで区切ったエリア内だけをすっかり新築のように変えることも可能です。それでも家を新たに建てたり、家全体に手を加えたりするのと比べるとだいぶ費用が抑えられます。

予算によっては、断熱はしっかりしつつ、一部はもとのままという方法も選べます。なお、断熱改修については補助金も使えるので、どのような補助金が使えるか、調べてみましょう。

それから大事なことは、ゾーン断熱をしない部屋が使えなくなるわけではないということです。改修前と同じように、荷物を置いたり、仏壇にお線香をあげにいったりと、活用し続けることができます。

こちらは外観ですが、ゾーン断熱の一例です。

サステナブルな取り組みをしている長野県諏訪市の古材屋さん「リビルディングセンタージャパン」を経営する東野さんのご自宅です。中古住宅を購入して、古材で自らリノベーションしました。家のサイズが必要なスペースよりも大きかったので、約2/3だけをリノベして、あとは以前のまま残してあります。

こちらは内装です。とても素敵ですね!

最後に、改修についてとても大事なことを共有します。住宅のリノベ、リフォームを手掛ける業者についてです。新築と違って、リフォーム業者は登録が必要ないので、技術や知識が伴っていなくても事業を始めることができます。そのため、業者選びは慎重に行う必要があります(詳しくはこちら)。

適切な工務店・業者に依頼をして、納得のいくプランで新しい生活をしてくださいね!

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