高橋さんちのKOEDO低燃費生活

「高気密」の家が息苦しくも、暑くもない理由

約 5 分
「高気密」の家が息苦しくも、暑くもない理由

時々、ブログを読んだ人から「高断熱は良いけれど、高気密はちょっと息苦しそう」と言われることがあります。また、かつて高気密の家を建てた方から、「冬は暖かくなったけど、夏は暑くて困っている」という話も聞きます。高気密だと息苦しかったり、夏に暑くなるということがあるのでしょうか?今回は、よく誤解されるそのあたりの話についてまとめてみます。

気密と断熱はいつもセット

最も大切なコンセプトは、「断熱と気密はセット」というものです。例えば、冬のすごく寒い日に外出するときは、セーターだけでは冷たい風が防げないので、ウインドブレーカーを着るはずです。このとき体温を暖かく保つセーターが「断熱」で、冷たい風を防ぐウィンドブレーカーが「気密」と考えてください。

つまり「気密」とは、家のすき間をなくすことです。既存の日本の家の多くはすき間だらけなので、夏も冬も外気が出入りして不快な環境がつくられやすくなってしまいます。また冷暖房をしても抜けてしまうので、省エネにも快適にもなりません。そのためせっかく断熱しても、気密がいい加減だとその効果が発揮されません。「断熱は大切だけど気密は重視しなくていい」と言う建築関係者もいますが、住んでいる感覚からすると、断熱と気密は常にセットと考える方が納得がいきます。

高気密の家は息苦しい?

でも、すき間をなくしたら息が詰まってしまいそうです。「高気密」という言葉からもそういうイメージを連想しやすいかもしれません。そこでもう一つ、断熱、気密と必ずセットになっているものがあります。それが「換気」です。高気密高断熱の住宅には必ず換気装置が付いていて、新鮮な空気が24時間換気されていますから息苦しさはまったくありません。むしろ、いままでの家よりもさわやかな空気を感じています。

もちろん、いまではごく普通の家でも、現在は法律で24時間換気が義務付けられています。でも、すき間の多い「気密性の低い家」の場合、換気装置を動かしても家のすき間から勝手に空気が出入りしているため、計画通りに家の中の空気をコントロールすることができません。室内の空気の状況を考え、換気を多めにしたいとか、少なめにしたいといったさまざまなケースがあるはずですが、すき間が多いとニーズに合わせて調整できず、不快な室内環境がつくられてしまいます。

適切な換気が行えるのは、家の気密性が高いからこそという関係が成り立っているのです。すき間から勝手に空気が出入りすることを「漏気(ろうき)」と呼びます。漏気を減らし、適切な換気をすることが快適な空間づくりのポイントになります。

高気密の家は夏は暑い?

高気密にしたときによく「問題点」として指摘されることがあります。1つは冒頭に紹介した「夏は暑くなる」というもの。もうひとつは「シックハウスが増える」というものです。これらは、いずれも誤解ですが、残念ながら日本では完全な間違いとは言い切れない複雑な状況も生まれてしまっています。それはなぜでしょうか?

高気密高断熱の家は、ヨーロッパで生まれました。このような家は、上に挙げた適切な換気はもちろん、夏は熱くならないようにとか、シックハウスにならないようにといったことを総合的に考えてつくられています。でも数十年前に日本に導入され始めた際に、ハウスメーカーや工務店によっては、総合的に考えず単に気密性だけを高める住宅をつくってしまいました。いわゆる、「なんちゃって高気密住宅」です。それによってさまざまな問題が起きてしまいました。

例えば、夏の日射角度などを考えず、冬の日射を取り込むことだけを優先した大きな窓をつくったとします。その窓が寒さに強い仕様であれば冬は暖かくなりますが、夏の強烈な日射も取り込んでしまう場合は、夏はものすごく熱くなります。高断熱高気密住宅は、一度日射熱を室内に取り込んでしまえば冷ますのが大変です。そこで「気密性の高い家は、夏は熱くて耐えられない」という印象が広まってしまいます。

そのような家の住まい手が、「夏は暑い」と感じたこと自体は間違いではありません。しかし、家を建てる時に夏の日射角度を計算して窓をつくったり、熱を室内に入れないよう窓の外にブラインドを付けたり(詳しくはこちら)といった工夫をすれば、十分に防げます。以前の記事で紹介したように、わが家は外気温40℃の日でも、ロフトは27℃で快適でした(詳しくはこちら)。高気密だからといって、夏に暑くなるわけではありません。

高気密住宅でシックハウスになる?

シックハウスの問題は、日本でビニルクロスを始めとする化学物質がたくさん使用されてきた証です。もともとヨーロッパの高断熱高気密住宅では、住まい手の健康を優先して考えられています。そのため、建材にアレルゲンとなるような化学物質を使わないことは大前提となっています。日本で高気密にしてシックハウスが増えた原因は、従来の住宅で使っていた建材を変えずに、気密性だけ高めたために起きました。これも「なんちゃって高気密住宅」が引き起こした問題です。

いずれも、住まいのつくり手が高性能な家造りに必要な考え方を総合的に学ばず、小手先だけを真似してつくったがために、問題のある家ができてしまいました。それを理由に「夏は暑い」とか「息苦しい」とか、あるいは「シックハウスになる」という人が増えました。それは、本来の高気密の家ではありません。

今回は、「気密性」について誤解されやすい話を取り上げました。日本ではまだまだ総合的に考えられた高気密高断熱のエコハウスに暮らしたことがある人が少ないので、なかなかこの誤解は解けません。僕も実際に宿泊体験をするまで、「高気密」と言われるとなんとなく恐いイメージがありましたから(笑)仕方ないことかも知れません。でも、最近はちゃんとした高気密高断熱の住宅が急速に増えているので、機会があれば訪問してみることをお薦めします。価値観を変えるには、体験に勝るものはありませんからね。

それではまた!

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