
今日は、エコハウスに欠かせない「窓」についてお話しします。暑さ、寒さに関わらず、家を快適に保つには、窓の性能がとっても大事なポイントになります!
そう言えば、これまでわが家の窓の話をちゃんとしてきませんでした。そこで、今回は、わが家の窓について、そして高性能な窓のポイントを紹介します。
日本では珍しいドレーキップ窓
まずは、わが家の窓について説明します。

わが家に使われている窓は、ドイツ製の「ユーロサッシ」というもので、日本の既存の窓に比べてかなりガッシリしています。僕も最初にこれを見たときは、「一体どうなっているんだ!?」と驚きました。
この窓は、「ドレーキップ」と呼ばれ、ひとつのハンドルで2つの開け方ができるのが特徴です。
まず、ハンドルを横にすれば内開きになります。

「ガチャッ」と大型の冷凍庫のドアみたいな感じで開きます。大きく開けば、2階の窓の外側だって、室内側から簡単に掃除ができちゃいます。
そしてハンドルを上にすれば、内側に倒して開くことができます。

この開け方だと換気や通風をしていても、人が侵入できないので、防犯にもなります。
日本では、横にスライドする引き違い窓が一般的ですが、それでは気密性が低くなり、暑さ・寒さの影響を受けやすいので、ヨーロッパではこのようなドレーキップタイプの窓が一般的です。ちなみに、ドレ−キップとは、ドイツ語のドレーン(回す)とキップ(傾ける)をかけ合わせたものとのこと。
とはいえ、わが家の外には幹線道路が走っていて、空気は全然きれいではありません。

そのため、普段はどちらの開け方も使わないので、考えようによっては、ちょっともったいないかもしれません(笑)。でも、空気がきれいな立地だったら、活用できるはず。
断熱性能はピカイチ!
肝心な断熱性能についてですが、ガラスが3枚入った高性能樹脂サッシなので、日本はもちろん、世界でもトップクラスです。
わが家のドアは、日本製の断熱ドアが使われています。

もちろん、一般的なドアよりも性能は良いのですが、それでもこの窓の方が暑さ、寒さを通しにくいほど高性能です。
特にわかりやすいのは冬の寒い時期。ガラスが3枚あるので、真冬にガラス部分を触っても冷たくありません。さらにサッシの部分はまったくといっていいほど影響を受けません。

それまで住んでいた家のアルミサッシはキンキンに冷えていたので、それとはまったく違います。そして、以前の家では冬場はガラスもサッシも結露しまくっていましたが、1年を通してまったく結露はありません。
その秘密は、このサッシの断面にあります。

サッシの内部はいくつもの部屋に分かれ、外の寒さや暑さを効果的にカットしてくれているんですね。外から見ると同じように見える樹脂サッシでも、この部屋の数が少ないとそこまでの断熱性能が発揮されません。
結露が少ないということは、カビも発生しないし、ダニも増えないので、アレルギー症状が抑えられます。
実際、ぼくのアレルギー鼻炎も、この家に来てからだいぶ緩和されました。また、アルミサッシは下から冷気が流れ込み、どうしても窓際が寒くなってしまいます。しかし、樹脂サッシなら真冬でも窓の近くで過ごせます。そのため実際の部屋の広さよりも、有効活用できているように感じます。
夏はブラインドとの組み合わせが最強
では、夏の暑さはどうでしょうか?夏にアルミサッシを触ると熱くなりますが、わが家のサッシは熱くなりません。冬と同様、外の影響を受けにくいので、家の中ではエアコンを少しの出力でかけるだけで、家全体を涼しく保つことができます。

ただし、夏の直射日光のパワーは強烈です。直射日光を浴び続ければ、トリプルガラスであっても室内は熱くなります。そこで、窓の外でブラインドやすだれなどを使い、直射日光を効率よく防ぐのが大切です。

日射からくる熱は、窓の外で遮ることで80%もカットできます。窓の種類に関わらず、おすすめできる方法です。詳しくはこちらの記事をお読みください。
アルミと樹脂をどう選ぶか
アルミと樹脂はこんなに違うのか、と驚いた方もいるかもしれませんね。これから家を建てたり、窓を入れ替えるなら、樹脂製を強くお勧めします。
別の選択肢としては、木製の高性能窓もあります。

木製はデザイン性が高く、おしゃれですが、まだ普及していないこともあって、コストがだいぶ高くなってしまいます。また、定期的なメンテナンスが必要になります。家のメンテナンスが好き、という方には向いているかもしれません。
最近ではアルミサッシの性能の悪さが知られてきたので、さすがに新築の住宅では、すべてがアルミ製のサッシは使われなくなってきています。

でも実はまだ大手建材メーカーでも、「家の内側が樹脂で外側がアルミ」というアルミと樹脂の「複合サッシ」を勧めているところもあります。
もちろん、一目見ただけではそんなに違いがわからないし、両方アルミサッシよりは性能が良いので、ハウスメーカーの担当者からは、「全部樹脂にしても性能はほとんど一緒です。それよりも、素敵なキッチンとか、お風呂のグレードを上げませんか」と説明されるかもしれません。
でもこのようなサッシは、オール樹脂のサッシに比べると断熱性能はかなり劣ります。また、目に見えない場所にあるアルミと樹脂の結合部分で結露が起きるので、施工の仕方によっては、窓枠の内部が腐ってしまう可能性もあります。

キッチンやお風呂などと比べて、窓をサッシごと交換することは、よほどのことがない限りありません。そのため、初めの選択がとても肝心です。
長期的な視点で見ると、これから窓を設置するなら、オール樹脂サッシにしておいた方がメリットははるかに大きくなります。

なお、ぼくら夫婦はこれまで海外でもいろいろな窓を見てきていますが、寒さが厳しい地域で住宅にアルミサッシを使っているような国はありませんでした。
また、わが家のようなトリプルガラスの樹脂サッシは、日本でこそ珍しいものですが、ドイツではどんな家でも標準的に設置されているごく当たり前の窓になっていました。

夫婦でドイツに行って、窓ばかり見てきたレポートもあるので(笑)参考にしてください。
普段は目立たない窓ですが、高性能な窓のある暮らしを体感したことで、その重要性を日々ひしひしと感じるようになりました。
窓業界の常識はここ数年で大きく変わりました。遅れているとされてきた日本だって、いまでは新築の住宅にアルミサッシが使われなくなってきています。もうしばらく先の未来では、わが家のような窓が珍しくなくなるかもしれませんね。
それでは今回はこのへんで!
