高橋さんちのKOEDO低燃費生活

『「断熱」が日本を救う』ご紹介!

『「断熱」が日本を救う』ご紹介!

今日は、先日出版したぼくの新書『「断熱」が日本を救う 健康、経済、省エネの切り札』(集英社新書)について書きたいと思います。というのも、この本を書くことになった大きなきっかけは、今暮らしているエコハウスに出会ったことだからです。

断熱ジャーナリストになった経緯

もう10年以上前(2013年くらい)のことですが、ぼくは、全国をめぐり地域の人々が主体になった再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電などです)の取材をして本を書いていました。

でも、当時は「家」で使われるエネルギーのことについて、ほとんど知りませんでした。しかし仕事で聞いた講演の中で、アルミサッシの窓はとても性能が悪いこと、そして、先進国でそんな窓を使っている国は日本くらいだと知って愕然としました。

それにより、当時住んでいた木造アパートの居心地の悪さと、冷暖房をつけても快適にならない理由がわかりました。日本の家は穴の空いたバケツのようで、エネルギーを使って冷暖房をしても、それがどんどん抜けていたのです。

その講演以前にも「欧州には無暖房でも20℃を保てる家がある」という話は聞いたことがありました。でもそのような家には短時間の取材で行っただけで、体感していませんでした。

感覚としてもっと知りたいと思ったぼくは、2016年2月に、宿泊体験ができるモデルハウスに取材として宿泊体験をしました。せっかくなのでゆみも一緒に体験してもらいました。これが「わが家エコハウスとの出会い」です。

そこでの体験は衝撃そのものでした。真冬の夜に無暖房でも足元が寒くないこと、お風呂を出ても脱衣所(←しかも玄関の隣!)がひやっとしないこと、玄関からロフトまで、家中の温度がほぼ同じだったこと。一言で言うと、めちゃくちゃ快適でした!

「エコハウスは夏は暑い」という噂も聞いていたので、夏にも宿泊体験をさせてもらったのですが、エアコン1台で家中が涼しく過ごせました。論より証拠です(その仕組みはこちら)

エコハウスを体感して、省エネのために我慢するか、エネルギーをたくさん使って快適にするかのどちらかではなく、省エネをしながら快適にすることができるんだと体感したのです。そして、これはぼくだけじゃなくて世の中のほとんどの人が知らないことだと思いました。

タイミングよく、宿泊体験したモデルハウスを売りに出すということだったので、思い切ってそこに住むことにしました。2017年にエコハウスに住みはじめたぼくは、その後このブログを書きはじめ、エコハウスで暮らしながら断熱について伝える「断熱ジャーナリスト」になったわけです。

本を書いた理由

個人的な暮らしの体験やさまざまな取材を通して感じたのは、「断熱」への意識が欠けていることにより、日本の人たちが寒さ暑さ以外にも、色々損をしてきたということです。また、「断熱」が足りないことで、健康やコスト、エネルギー問題を含む、さまざまな社会問題につながっていることも確信しました。

さらに、断熱を切り口に取材を続けたことで、そのような問題に挑んでいる専門家、建築関係者や地域の人々に、数多く出会うこともできました。一見すると地味に見えても実は日本社会を変えうるような画期的な活動も多く、それも本で伝えたいと思うようになりました。

多くの人の常識が変わり、行動につながれば社会が変わります。だからこそ、工務店の人やこれから家を建てようか検討している人だけに向けた本ではなく、広く一般の人に読んでもらえるようなものを目指して執筆しました。

変化を求めた人たちの行動

取材の過程では、何人もの住宅実務者の方から、同じような反省や後悔を聞いてきました。特にヨーロッパの家づくりを学び、日本との違いに衝撃を受けた方がたくさんいました。

「これまで良い家を作っていると思っていたのに、欧州では違法建築レベルでしかなかった」

「自分が作った家で、ヒートショックなどで死んでいる人がいるかもしれないことに気づいた」といった内容です。

誇りを持って続けてきた自身の仕事を、否定するのは簡単なことではありません。それでも、新たな事実を知り「変わらなければいけない」と考えた人たちが、高い性能の家づくりをめざすようになっていました。

勇気をもって変化を求めたそうした少数の人たちの行動もあって、断熱の大切さが、日本でもようやく注目されるようになってきました。ずっと書きたかったこの本が出版でき、そして幸いなことに注目されつつあるのも、断熱の価値が注目されてきた証です。

本題の本の紹介

では、やっと本題に入って、この本にどんなことが書いてあるかご紹介します!

第1章 「がまんの省エネ」が寿命を縮め、お金を減らす

この章では、日本の家と世界の家がどれほど違うかというお話や、ヒートショックをはじめとする住宅と健康の関係、また、住宅の断熱性能とランニングコスト(光熱費)の関係などに焦点を当てています。今まで思っていた「家なんてこんなもの」という常識が覆されるはずです。

第2章 エコハウスってどんな家? 秘密と誤解を大解剖!

この章では、主にエコハウスに住んだ経緯と実体験について書いています。6年以上続けているこのブログの記事をコンパクトにまとめたような話もたくさん出ていますよ!また、エコハウス(高気密・高断熱の家)について、あまりに多くの誤解が出回っているので、その誤解を解いてみました。

第3章 エコハウスの選び方と断熱リノベーション

この章では、具体的に家を建てるときのポイントや、既存の家を断熱改修をする際のポイントについてまとめています。リフォーム業者を入れた本格的な断熱改修から、DIYで行うリノベまで、幅広くカバーしています。

第4章 断熱で社会課題を解決!

この章では、断熱を切り口に解決できるさまざまな社会課題と、それに対して行われている具体的な取り組みを紹介します。課題は山積みですが、実は技術的には難しいことではありません。そしてノウハウは、すでに取り組んでいる人たちが示してくれています。解決の糸口は見えてきています。

第5章 断熱は持続可能なまちづくりのカギ

この章では、いままさに動いている自治体の画期的な取り組みから、国に求められる住宅政策まで、マクロな焦点で考えています。日本各地でここで紹介する自治体のような取り組みが広がれば、「断熱が日本を救う」ことになると思います。

他の断熱本との違いは?

よく言われるのですが、いい家をつくるための本はすでにたくさん出ています。実際、ぼくもそういう本を参考にさせてもらっています。

今回のぼくの本の特徴は、いい家のつくり方だけでなく、建物の性能向上を通じて社会的な課題にどう向き合うか、まちづくりや脱炭素の視点も含めて書かれている点と、実際に住んでみた体験を通じて学んだことをしっかりまとめている点にあります。内窓の話から、断熱を切り口にまちづくりや日本経済の話まで展開している本は、他にはないのではないかと思います(汗)。

断熱の社会的な意味

この本では、断熱で変えることのできる社会課題として、木造賃貸アパートの劣悪な居住環境、空き家が増え続けている問題、そして学校など公共施設の断熱が貧弱(もしくは無断熱)であることにより起きる数々の課題をあげています(主4章)。

特に学校は、子どもたちが普段使うということはもちろん、災害時の避難所にもなる場所です。いまも、能登地震の被災者が体育館などの避難所でとんでもなく寒い思いをしています。これは防ごうとすれば防げるのに、やらなかったがために間接的に新たな被害を生む「構造的暴力」であると考えています。

避難所に長く留まらなければならない人たちは、社会的に最も弱い立場にあります。その人たちが逃れてきた場所が断熱されていないことで、寒さや暑さなどでさらに苦しめらる、そんな環境を変えなければなりません。(なお避難所については、断熱だけでなく、プライバシー確保や感染症対策などが同時に必要です)

ぼくは、断熱には日本社会を変える力があると思っています。

そのためにはまず、「どうせ変わらない」「寒い、暑いはあたりまえ」「いままでどおりでいいんじゃない?」という誤った思い込みや当たり前を変えないといけません。この本を、日本の常識をアップデートさせるきっかけにしていきたいと思っています。そうするためには、皆さんがこの本を活用して内窓をつけたり、多くの人にこの本を紹介してくれることが必要です。ぜひ一緒に日本の当たり前を変えていきましょう!

長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました!色々な発見があると思いますので、ぜひ、本も読んでくださいね!

コメント

  • Comments ( 2 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. いくつもの本屋で売り切れでしたが、ようやく手に取ることができました。
    断熱の大切さ知ることができ、ありがとうございました。
    ところで、とある議会で本書を元にしたと思われる質問がされるようです。
    本書のさまざま文章で質問内容が構成されていますが、引用元表示は見当たらないようです。

    • 拙著をお読みいただきありがとうございました!本の内容を質問に活かしていただいた件は、ご連絡をいただいています。このような形で、社会の断熱化が進めばよいと思います。この本を広めていただければ幸いです。

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