高橋さんちのKOEDO低燃費生活

「家の燃費」を当たり前に。建築物の「省エネ性能表示制度」が始まります!

「家の燃費」を当たり前に。建築物の「省エネ性能表示制度」が始まります!

2024年から4月から、住宅性能に関する新しい「省エネ性能表示制度」が始まります。やっとのことですが、これは日本の住宅性能の底上げをするはじめの一歩と言えます。このブログのタイトルも「低燃費生活」ですが、いよいよ日本全体が家の燃費を気にする時代になったと言っていいかもしれません!今日は、この制度について説明します。

これまで、ほとんどの人は自分が暮らす家やアパートなどの性能について考える機会はありませんでした。自分の家の壁に入っている断熱材の厚さを知っている人もほとんどいなかったと思います。

でも、考えてみてください。車や冷蔵庫、エアコンなど他の買い物をするときには、省エネラベルや燃費をチェックするのは当たり前になっていますよね?最も長い時間を過ごし、人生で最も高い買い物である住まいを選ぶ時に、性能を目に見える形で比べて決めることができなかったのは、むしろおかしなことだったというわけです。

ブログではこれまでも、家(マンション、アパートなどの集合住宅を含む)には性能の差があることについて書いてきました。今回は、遅ればせながらも国の制度として、住宅の売買や賃貸契約の際に、その性能の差が表示されるようになります。例えば、住まいを選ぼうと不動産屋さんに行ったときに、最寄り駅からの距離や間取りだけではなく、その建物の断熱性も要素の一つとして検討できるようになるのです。

ただ、現時点で欧州と違って「義務」ではなく、「努力義務」という中途半端な位置付けです。また、すべての売主や貸主の側が対応できているわけではないため、すべての建物で性能ラベルが表示されるまでにはまだ時間がかかりそうです。

とは言え、最近は住宅の性能について注目されることも増えているので、性能が良い住宅が評価されるにつれて、徐々に増えていくのではないかと予測されています。これは、高断熱が当たり前の社会へ向けて一歩前進と言える変化です。

では、省エネ性能表示が具体的にどんなものか見てみましょう。

出典:国土交通省のウェブサイト

こんなふうなラベルで表示がされます。ポイントは大きく分けて3つあります。

エネルギー消費性能が星の数でわかる

国が設定した一次エネルギー消費量の基準に沿って、消費エネルギーが少ないほど星の数が多くなっています。最大は星6つで、太陽光発電などの創エネ設備がついていると、星がより多くなる仕組みです。

断熱性能の等級が表示される

断熱性能の等級が家の形をしたマークで表示されます。2022年までは、国が定めた性能が1〜4に分かれていて、4が一番高性能でした。2022年後半に、5、6、7が新たに設置されました。ラベルでは1〜7(トップレベル)まで分けて示してあります。

これから住まいを選ぶ場合は、戸建て(新築)であれば6以上、賃貸でも少なくとも4以上の物件を選んでほしいと思っています。ただ賃貸はまだ性能が低い物件が多いので、まだ選択肢が十分ではない可能性があります。その中で、性能ラベルが表示されている賃貸物件があれば、性能に自信があるものかもしれません。要チェックです!

光熱費の目安が金額で示される

住宅の省エネ性能により左右される光熱費。これまでは住むまでは全くわからない状態でしたが、電気やガスなどの光熱費を計算した目安が表示されます。もちろん、光熱費は住む人の人数や暮らし方により大きく異なるため、あくまでも参考の金額です。それでも、目安があるだけでも比較しやすいのではないでしょうか?

これまではそのような発想すらなかったので、このような表示があると暮らし始めてからの生活費を想定するのにも役立ちますね。ただし、この項目は任意なので、ラベルが提示されたとしても、そこに書かれていないケースもあります。

制度が始まってしばらくの間は、表示されていないラベルが多いかもしれません。欧州のように、ラベルも光熱費の目安も義務化してくれた方が、消費者は選びやすくなることは間違いありません。

エネルギー消費性能の評価は誰がする?

ちなみに、ここまで紹介したエネルギー消費性能の評価を誰がするのかについても触れておきます。ひとつは第三者評価機関が評価するもので、建物の仕様から計算されます。これは、評価が専門の組織なので信頼性が高くなります。

もうひとつは自己評価で、住宅の販売者や貸主である業者が作っています。こちらも決められた計算ソフトを使って算出されているので、めちゃくちゃな数字は出ないはずですが、第三者評価と比べると、若干信頼性が落ちます。ラベルには、自己評価・第三者評価のどちらなのかも書いてあるので、そこも参考にしてください。

この省エネ性能表示制度について、詳しくは国土交通省のこちらのウェブサイトをご覧ください。

なおこのラベルは、住宅の仲介サイトでも積極的に表示される方針になっています。特に、住宅を買う、または借りることを検討している人は、必ず注目してください。それは自分が性能の良い家に住めるかどうかというだけでなく、より多くの消費者が性能に関心を持つことで、社会の常識が変わっていくからです。

現在の状況では、多くの賃貸のオーナーや集合住宅を作っている建設会社、不動産屋さんは、省エネ性能の表示や、省エネ性能自体について深くは認識をしていません。性能の良し悪しがビジネスに影響しないからです。

でも、多くの消費者から「この物件は省エネ性能が高いですか?」「性能ラベルはついていますか?」という質問を受ければ受けるほど、業者がその重要性を認識し、ラベル表示のインセンティブにもなっていきます。

逆に、世の中の多くの人が気にしなければ、貸主は「性能が低いから表示しない方がいい」となってしまうかもしれません。それが一般的になると、せっかくのこの制度は機能しなくなってしまいます。「ラベルがある物件を優先します」という人が増えることは、その意味でもとても大切になってくるのです。

ヨーロッパでの表示は?

ヨーロッパなどでは、省エネ性能の表示が何十年も前から義務化されています。そして、それがあることで建物のレベルもどんどん上がってきました。これは日本語ですが、こちらはヨーロッパで使われている性能表示の例です。基準と比べてその家がどれくらいのレベルかも表示されます。

日本でも、住宅を選ぶときに借り手や買い手の選択の要素の一つになり、「性能が高ければ住宅の価値が上がる」という流れができれば、高性能住宅であることがビジネスチャンスになります。そうなれば賃貸住宅を作る側も性能を気にしないわけにはいかなくなります。

今回の性能ラベルは義務ではないので若干中途半端ではありますが、やっと住宅の性能が可視化されることになりました。これは、以前書いた2025年から省エネ性能が低い家は売れなくなるということと合わせて、高性能住宅、賃貸住宅の普及のとっかかりになると思います。

この動きを推し進めるには、みなさん一人一人の関わりが重要です。ぜひ、散歩ついでに不動産屋さんをのぞいて、性能ラベルをチェックしたり(笑)、住宅を選ぶときにはたずねてみてくださいね!

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