
私たちは、エコハウスで子育てをしています。それに関連して、いつも聞かれることがあります。「気温や湿度が安定しているエコハウスで育った子は、体の調節機能が弱くなって抵抗力が落ちるのでは?」という疑問です。
でも、実際エコハウスネイティブのうちのおまめちゃんは、元気いっぱい。保育園に通い始めた最初の1年は、ほぼ隔週で熱を出したり風邪をひいたりと「みんなが通る道」と言われたウイルスとの戦いを経験しましたが、その後はぐんぐんと強くなりました。
「エコハウスで暮らしている」と言っても、おまめちゃんは平日の昼間は保育園にいて、日中は長時間を屋外で遊んでいます。週末も外でたくさん遊んでいるので、暑い時期には汗だくで、寒い時期には薄着で、しっかりと外の厳しい環境に触れています。

エコハウスの安定した環境で過ごしているのは、家に帰った夕方から、朝起きて準備するまでの、生活の約半分(その大部分は睡眠中)の時間になります。
自分の体験から言えば、一日の活動で疲れた身体を休めたり、回復したりする時間に、身体がしっかり休めていることは、大切なことだと感じています。
今日は「エコハウスで暮らすのは身体に悪くない!(というか、とてもいい!)」と説明するため、ファクトチェックをしてみます!
大きく分けて、
①「エコハウスの健康効果」がどれくらいあるか(エコハウスにいることが健康を保つ助けになるのか)
と
②「厳しい環境に長時間触れることが身体を鍛えるのか」
という2点です。
①エコハウスの健康効果
まず考えるべきは、エコハウスの健康効果です。私たちがエコハウスに住みはじめてから、風邪やアレルギーなどで体調を崩すことが圧倒的に減りました(以前の記事はこちら)。
これは、私たちだけではありません。エコハウスの安定した温度(暑さ・寒さ、寒暖差がない状態)と湿度(高湿度、過乾燥がない状態)は、風邪にかかったり、アレルギーを悪化させたりすることを防いでくれることが、多くの研究で報告されています。
こちらは、断熱レベルが低い住宅から、高い家に移り住んだ人たちを対象に行われた調査結果です。

これまで、健康との因果関係としては、食生活や運動、睡眠などが重視され、住環境については話題になりませんでした。しかし近年の研究により、実際には住環境が健康にかなり大きく関係していることが注目されるようになりました。
例えば冬に住宅が暖かければ、ヒートショックを防ぎ、高血圧を予防することができるなど、さまざまな効果があることはわかると思います。それだけではなく、家が寒ければコタツに入りっぱなしになるなど、認知症のリスクは高まります。
逆に家全体の温度が安定していれば、寒さが厳しい時期でも室内での活動量が減ら図に、健康寿命が伸びるという報告も出ています。
私たちの体感から言うと…?
「ファクトチェック」から若干脱線しますが、私たちの体感から言うと、エコハウスの効果は、ただ「アレルギーが減った」「風邪をひかない」というものではありません。イメージで言えば、身体の「復活力」「レジリエンス」がアップする、という感じでしょうか。

たとえば、空気が乾燥している時期に、鼻が詰まった状態で寝てしまい、翌朝喉が痛くなり、風邪を発症したといった経験がある人は多いでしょう。でも、鼻が詰まっていても、就寝時の空気が乾燥していない、温度が低くない場合、悪化しない可能性が高まります。
実際、わが家のおまめちゃんも、鼻水が(本人の言葉を借りると)「ぶーぶー」出ているなど、ちょっと風邪気味かな?という状態にはなっても、それ以上悪化せずに戻れることが多いのです。
また、空気の質ももちろんですが、寝相が悪くて毛布が取れて、真冬にパジャマと腹巻きだけで一晩寝ても、室温が23度や24度あるので、寝冷えもほとんどしません。
カビやダニの数も大きな要素
エコハウスの性能というと、温度・湿度など、ぱっと見でわかる数字が注目されがちですが、様々なアレルギー症状を引き起こすカビやダニとの関係も忘れてはなりません。

冬の寒い時期は、アルミサッシの窓に結露が発生しやすくなります。それは多くの人が悩ましいと思っていることですが、その結露が、健康にどう影響するかはほとんど知られていないというデータもあります。
実はその水分をきっかけにカビが繁殖します。さらにカビを餌にするダニが増えていきます。ダニやカビが多いと、咳や鼻水など様々なアレルギー症状の原因となり、それが風邪のような症状につながることも多いのです。
エコハウスでは、結露はもちろんですが、カビやダニの発生量が、日本の一般的な住宅と比べて著しく低いこともわかっています。これも、見えにくい健康効果だと思います。
そのような意味では、エコハウスで暮らすこと自体、特に、休息を取るべき就寝時によい環境を保つのは良いことと言えるでしょう。
②厳しい環境に長時間触れることが、身体を鍛えるのか
それでも、エコハウス育ちの子どもについて、「温室育ち」のようなひ弱なイメージを持っている人もいます。
でも、実際には24時間家の中にいるわけではなく、日中、外でたくさん遊んでいれば、厳しい環境に触れる機会はいくらでもあります。

「厳しい環境に長時間さらすと身体が強くなる」というのは、根拠のない固定観念でしかありません。寒ければ、呼吸器・循環器疾患に悪影響が出たり、地味に肩こりやしもやけなどの辛い症状も出ます。同様に、極度に暑ければ熱中症になります。
暑さ・寒さに長時間さらされることは、適度な筋トレのような負荷とは異なり、リスクの増加になるという認識も必要です。(しつこいですが、これは家で休息する場所・時間の話です。)
「何が身体にいいのか」にもアップデートが必要!
先ほど「固定観念」と書きましたが、家の中では一定の温熱環境を保つべきというのは、今では欧米などでは常識となっています。
実際、WHOは科学的根拠に基づいて、冬場は家の中全体を最低 18 °C 以上とすることを強く勧告しています(2018年)。

また、子ども、高齢者、慢性疾患のある人などについては、それより高めの室内温度が望ましいとされています。
日本の場合、リビングは18度を保っているものの、他の部屋が寒いことが多いです。冬の室内の温度は、血圧への影響、認知症、健康寿命にも関係あることが徐々にわかってきているので、暑さ・寒さに関する認識のアップデートも必要です。
ポイントは「よりよい環境」を目指す
そう言われても、木造の賃貸住宅だったり、今の家の環境により、家の断熱改修はできない!と思うかもしれません。でも、断熱はやればやるだけ効果がある、とてもわかりやすいものです。

過去の記事(主に「省エネアイデア」のセクション)では、DIYでの内窓の付け方や断熱アイテムの使用といったちょっとしたことから、断熱業者の選び方、業者に頼んでつける内窓、天井断熱、ゾーン断熱など、今の家でできる色々なレベルの取り組みを紹介しています。ぜひ覗いてみてください。
私たちは、日本の住環境の基準を底上げしたい、究極的には、誰もがエコハウスに住めるような社会を目指したい、と思い発信を続けています。ぜひ、断熱を体験して、その効果を一緒に広めてください!
では、また次回!




