高橋さんちのKOEDO低燃費生活

ドイツのプロジェクトから学んだ「断熱はみんなのもの」!

ドイツのプロジェクトから学んだ「断熱はみんなのもの」!

年末の記事でもチラッと紹介しましたが、今日は私たちがエコハウスについて発信し続ける理由を紹介します。その象徴が、ドイツで出会った断熱プロジェクトです。

コロナ禍が続いたことで、この冬はいつもにも増して、貧困問題や住まいに困る人たちのことを聞きます。私たちもすぐにできることが少ないのでヤキモキするし、ブログで「寒い冬でもうちは暖かいよ」と発信することにも躊躇しています。

でも、そんな時にこのプロジェクトを思い出すと、やっぱり発信し続けよう!と思います。

私たちは3年くらい前に、ドイツで断熱とエネルギーの取材をしました(ドイツのすごい省エネ改修についてはこちら、すごい窓についてはこちら)。

技術はもちろんのこと、社会の温熱環境に対する常識も違うし、断熱改修を推し進める仕組みや長期的な視点など、驚きと学びの連続でしたが、一番すごいと思ったのは「断熱はみんなのもの」だということでした。

ドイツの首都ベルリンの近くにポツダムという町(あのポツダム宣言の場所!)があります。そこには、旧東ドイツの時代につくられたドレヴィッツ地区という巨大団地エリアがあるのですが、いわゆる貧困層の人々が多く暮らしている地域になっていました。そして貧困や健康問題、治安問題などが山積みでした。

そこで、行政が中心になってこの地域をどうにかしようという動きが起こります。さまざまな人が絡んだ議論の末に、建物の徹底的な断熱改修と再エネ100%でエネルギーをまかなうこと、行き過ぎた自動車交通の見直しや地域の緑化など、総合的な地域の大改修プロジェクトに発展していきました。

プロジェクトの中心となったのが断熱による省エネです。古い団地に外から断熱材をペタペタと貼りつけて、他のプロジェクトと合わせて住民の光熱費を半分にするなど、快適性や経済性をあげていったのです。

総合的な改修の結果(工事はまだ続いていますが)住民の生活やコミュニティが徐々に改善されるようになっています。

実は、プロジェクトの背景や詳細がいい感じにまとめられている、まさきさんの記事があります。実はさっさとこの記事を読んだ方が、私の説明よりよくわかります(笑)。希望が持てる本当にステキなプロジェクトなので、ぜひ読んでみてください!(そのあと、この記事の続きも忘れずに読んでくださいね!)

↓こちらからどうぞ!!!
だれも見捨てない持続可能なまちづくり〜ドイツ・ドレヴィッツ地区の再開発から(グリーンズ )

ここを取材して大事だと思ったのは、行政職員に聞いても市民に聞いても、基本的に貧困層が暮らす団地を、税金を使って断熱改修することに大きな不満が出ていないことです。

断熱改修と貧困問題は、一見繋がっていないと思われるかもしれません。でも、プロジェクト担当者はこう言うのです。「低所得者にも快適な環境に暮らし、教育を受け、差別されずに生きる権利がある」と。

ドイツでは、暑さや寒さは人権問題とされていて、貧困世帯、難民であっても、お金がないから寒さを我慢しなければならないのはおかしいと考えられているということです。

そのため、プレハブのような仮の建物でさえ、ちゃんと断熱されていて暖かかったのです。それが一般の人たちの間でも、それなりに合意されていることが日本との大きな違いかなと思いました。

事実、私たちが訪問する少し前にはシリア難民が大勢ドイツにたどり着いていたため、ドレヴィッツのこの団地にも、難民が住むための棟を建てる構想があったそうです。

結果的には色々な事情でそこに建てることにはなりませんでしたが、もちろん計画された建物の性能は、難民向けだからといって他と変わらず、しっかりと断熱されることになっていました。

日本でエコハウスの話をすると、お金持ちの人しか住めないかのように思われることがあります。でも、そうではありません。お金持ちでも家の脱衣所が寒く、ヒートショックで倒れる人もいます。逆にお金持ちでなくても、暑さ寒さを我慢しない生活も可能だと言えます。私たちはその一例かもしれません。

あまり大きなニュースにはなっていませんが、実は年末からずっと大変な電力不足で、電気の契約会社や形態によって、今、異常に高い電気代を払っている友人もいます。

まさきさんが詳しく仕組みを説明してくれたけど、複雑だから割愛します(!)が、ともかく、このような状況だと、お金がない人は寒くても暖房を我慢しなければならなくなってしまいます。または電力不足や災害で、雪の中で停電が起きたらお金を持っていても暖房できなくなるかもしれません。

断熱がしっかりされていれば、エネルギーを最小限しか使わなくても暑さ寒さに強いので、このようなリスクが予防できます。そして社会全体でそのような対策を取ることが、緊急時や災害時の備えになるだけでなく、社会的弱者に優しい社会をつくることになります。

私たちが「断熱大使(←自分で命名)」として目指しているのは、お金持ちだけが快適な家に住める社会ではなくて、社会全体をレベルアップすることです。

私たちは、省エネや気候変動対策のため、あと極度な寒がり(!)など、いろいろな理由があり、そしてご縁があってエコハウスに住むことになりました。でも、ただ自分たちが快適に暮らしているとアピールしたいわけではなくて、少し時間はかかるかもしれないけど、社会の常識をアップデートして、誰もが断熱された家に住める社会にしていきたいというのが一番の願いです。

ドイツのプロジェクトの工事が完成する頃になったらまた訪れて、2人でレポートしたいと思っています。

おわり

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